Urban Architecture Planning Partnership
           
















『岩沼市玉浦西地区災害公営住宅』

はじめに

 岩沼市玉浦西において東日本大震災で被災された方々が一日も早く被災前に戻れるよう、生活の再建と安定を支えるため
新築された公営住宅です。防災集団移転促進区域内に整備することから、公営住宅としての役割に加え、まちの復興と整合を図った整備が必要でした。
 岩沼市は、まちづくり検討委員会を早期に開催し住民主導でおこなったモデルケースとして注目されている地域です。
プロポーザルによって設計者を4社選定し同地域に4つの設計事務所がそれぞれ違った災害公営住宅を設計しました。
当事務所では、公営敷地内の中央を貫くように緑道と名づけたネットワークパスを配置し、バリアフリー動線とコミュニティ形成の場所になるように計画しました。
 また、道路側の顔として玄関前に下屋(ポーチ)を設けて玄関前のプライバシーの確保と道路側からのファサードに統一感を持たせています。住戸は、戸建・二戸一・長屋(三戸一と四戸一)がありますが、全ての一戸建てのように見えるように計画しています。災害公営住宅に良くある画一的な建物にならないように屋根の勾配向きや配置を検討し街並みに馴染む景観を提供しています。

道路側 外観
幹線道路からのファサードです。
地区計画により地域全体で道路側に生垣の植込みが定められています。
地域全体での街並みに配慮しています。
この生垣と下屋で道路側の顔を作っています。法面にはリピアという植栽を植え込みしました。
これによりさらに緑豊かな街並みを提供できることと法面保護の役割もになっています。



災害公営地区内の道路面のファサードです。

こちらの生垣は、低いものを採用しています。
建物の配置を前後することで奥行き間を出しこれまでの災害公営住宅のイメージとは違うものになるように意識しています。前面にあるコンクリート舗装部分は駐車場になります。
1住戸1台を確保して、集合駐車場も別で確保してあります。
手摺のある赤い舗装は緑道へのスロープです。


緑道から道路面をはさんだ緑道入口へのつながりがわかります。


共有のデッキから
通常動線は、道路側のコンクリート舗装しているアプローチから階段でアクセスします。

緑道側 外観
敷地内緑道側からの外観です。
バリアフリー動線
緑道スロープ→緑道→共有デッキ→バリアフリーサッシ→住戸居室
というアクセスの仕方となります。


緑道の両側には、植栽帯を設置しています。住民の方が植栽を行って良い場所となるように期待しています。


緑道からデッキ、バリアフリーサッシという流れがわかります。
バリアフリーサッシは、外部から施錠・開錠可能な内外錠を設置しています。
バリアフリーアクセスとしてこちらを主玄関として使用することも可能です。


住戸2階より見下ろしの外観
集合駐車場が確認できます。


住棟間 隙間
住戸間の隙間
この隙間が採光・通風や一戸建てのように見える計画に大きな意味を持っています。
住戸間を下屋によって接続することで一棟とみなしています。


住戸間からは、その先の住戸や共有デッキへアクセスする動線ともなっています。


室内居室からデッキを介して緑道へのつながりがわかります。


住戸 内観

下屋(玄関ポーチ)より道路側をみる
程よくプライバシーを確保できる。
入居者の出入が確認でき下屋を介したコミュニケーションも可能な計画です。


住戸居室内部
各居室は、3枚引戸によって仕切られているため
家族構成や生活スタイルによって片側によせて2室を1室として利用することもできるように計画しています。



2階建て住戸のダイニング吹抜け部です。
少しでも広くみせるためサッシには、掃き出し窓を多く採用して吹抜けも設けています。


平屋住戸
手前ダイニングキッチンから奥の居室をみる。
寝室は、さらにもう一部屋あります。


居室から隣接住戸の下屋をみる


トイレと奥の収納をみる
高齢者への配慮としてどの居室からも最短で水周りへアクセスできるように
トイレには、左右2方向に出入口を設けました。
これにより住戸内とぐるりと一周できるようになります。


2階居室
吹抜け部へ内窓を設置しています。
これによって採光と通風を確保できます。


隣接する住戸とデッキとのつながりが確認できます。
デッキの材料は、木粉入樹脂材として耐久性も十分です。
また、室内フローリングと同系色を採用しましたので室内をより広く見せてくれます。


右に見えるのが可動家具になっています。
固定金具を外せば簡単に移動でき建物を入居者の生活にあった使い方ができるようにしています。


仮設から災害公営住宅へ移られて少しでも日常の生活に明るさが戻ってくることで、
少しでも震災からの生活の再建の手助けになることを願っています。