仮)大屋根に佇むそれぞれの居場所

敷地・クライアントのこと、など

敷地は仙台市郊外の新興住宅地である、丘陵地の中腹に位置しています。
クライアントは、現在遠隔地に住んでおり、新たに土地を取得して、 「奥さんと小さな子ども」そして「彼のお母さん」との、二世帯住宅を計画していました。
クライアントは在宅で仕事をされており、そのためのスペースも必要です。 「自分や奥さんや子どもの、それぞれゆったりと時間を過ごせる空間」 が、一番の要望でした。

1/100敷地模型

敷地模型を西側から見る

敷地模型を西側から見る。敷地は、模型写真の下から上に、緩やかに上っています。西側隣地との間の擁壁は3mほどの高さがあります。
南側の向かいは、大きなグラウンドがあり、長く眺望を楽しむことが出来そうです。

敷地模型を南側から見る

敷地模型を南側から見る。西側から東(右から左)に向かって緩やかに上っています。道路際の擁壁は、大きな自然石によってつくられています。


検討の始まり

検討の当初は、二世帯住宅をどう住み分けて、どう繋げるかに関心の中心がありました。

2017-05-15-studymodel

↓ 下の初期案は、「スタイロフォームで作った部分(水色の部分)」に、二世帯を配置し、 真ん中に共用部分を配置しています。敷地の対角線上に「風景が通り抜ける空間」をつくろうと考えていました。

2017-05-17-A-studymodel

↓ 下の案は、道路に面した「南側部分」の上下階に、二世帯を配置する案です。

2017-05-17-B-studymodel

↓ 大きな屋根をつくって、その下に居室を配置する案です。

↓この角度から見ると、第一案にあった筒状の「風景が通り抜ける空間」を設けています。

2017-05-18-A-studymodel

↓下の案は、「息子世帯」のリビングダイニングを南側の2階部分に配置しています。 南側道路の向かいには、広いグラウンドがあり、恒久的に眺望が得られそうな敷地です。

2017-05-18-B-studymodel

↓下の案は、「主たるLDK」を敷地北側(写真上側)に配置し、 その南側に大きくテラスを設ける案をつくってみました。 これはこれで、ゆったりした空間になりそうです。

2017-05-18-C-studymodel

↓「L字型案」
「ひと筆書き」的な空間を想像していたように思います。

2017-05-19-A-studymodel

↓「L字型案」その2
「ひと筆書き」的な空間を大屋根の下に連続させています。

2017-05-19-B-studymodel

↓「ロの字型案」とでもいうような案です
これも、「ひと筆書き」的な空間を想像していたように思います。

2017-05-19-C-studymodel

↓何故かまた、「筒状に風景が通り抜ける空間」が復活しています…。
「何をどうするべきか」が見つかるまでは本当に長い道のりです。

2017-05-20-A-studymodel

↓「L字型案」であり、『「ひと筆書き」的な空間を想像している』のですが、 「それぞれの家族の居場所を大らかな大きな屋根で覆う」 アイデアの萌芽があります。 最終案に辿り着くきっかけをようやく見つけています。

↑しかし、屋根の納まりが悪く、このまままとめたのでは雨漏りが懸念されます…。
「きっかけを見つけた」と言っても、まだまだ、私たちにその自覚が明確でなく、 このあともしばらく迷走しています。

2017-05-20-B-studymodel

2017-05-20-C-studymodel

2017-05-20-D-studymodel

2017-05-20-E-studymodel

2017-05-22-A-studymodel

2017-05-22-B-studymodel

2017-05-23-A-studymodel

2017-05-27-A-studymodel

↑また、「息子さん世帯」について、 「ひとつながりの空間が階段状に連続する」というイメージも次第に明確になってきました。

2017-05-27-B-studymodel

↓「ロ字型案」
「家族の居場所を大らかに屋根で覆う」ことを明確化しています。

2017-06-06-A-studymodel

↓このあたりの模型で、凡その空間構成とコンセプトが明確になっています。 同時に、「実際にどうつくるか」「コスト的に納まるか」などを視野に入れた検討が、頭の中では始まっています。

この頃になると、リビングのプライバシーの守り方については、 クライアントとの間で共通理解が出来てきました。
「南側の道路が敷地よりかなり下がっている」ため、リビングを床を少し上げ、 更に「リビング前のテラス」を張り出してやれば、この道路からの視線はリビングに届かないことが分かってきました。
更に道路を下り、敷地西隣りあたりまで来ると、かなりの高低差があり、中を覗き込むことは出来ません。 こうして、風景を取り込み、開放的な生活を満喫しながらも、プライバシーを守ることが出来ます。

2017-07-08-A-studymodel

↓コンセプトとしては明解になっていますが、「どうつくるか」が難しく、構造的なことや工法的なことなど様々な要素を考え合わせようとしています。下の案は屋根の折れ曲がりが多く、実際には綺麗に作れないと思われます。

2017-08-09-A-studymodel

↑垂木を入れて見たりしています。 「どう見えると良いか」「どう見せたいか」について、すこし考えを進めています。

2017-08-10-A-studymodel

↓構造的にもう少し検討し、屋根の折れ方を工夫しています。

2017-08-21-A-studymodel

↓更に屋根を整理しています。

↓良く出来ているように思えますが、しかし実際には、この写真を見てもらうと分かりますが、 「一番手前の大きな屋根面」が捩じれており、うまくいかないことが分かりかけてきました。 何度も同じような模型を繰り返し作って検討することには、そういった意味もあります。 事前にうまくいかない部分を発見できますので…。

2017-08-22-A-studymodel

2017-09-07-A-studymodel


「1/50模型」での検討

もうそろそろ「1/100模型」での検討も限界だろう、ということになり、検討を「1/50模型」に切り替えました。

2017-09-19-A-studymodel

↓先ずは「大きな架構」の検討です。

2017-10-28-A-studymodel

↓『「大きな架構」にどう垂木を掛けるか』について、構造担当と話し合いながら検討を進めています。
「それぞれの家族の居場所を大らかに屋根で覆う」イメージが明確になっていますね。

2017-10-28-A-studymodel

↓『「大きな架構」にどう垂木を掛けるか』について、構造担当と話し合いながら検討を進めています。
「それぞれの家族の居場所を大らかに屋根で覆う」イメージが明確になっていますね。

2018-02-26-A-studymodel

↓ ほぼ最終案に近いです。
内装も、クライアントの要望通り、「木を使った落ち着いた空間」となってきました。

2018-08-03-A-studymodel

↓構造検討用の模型です。このまま、50倍にして、建ち上がることになります。

最終案

ようやくまとまりました。
しかし、「楽な住宅設計」「すぐできる住宅設計」には、今まで出会ったことがありませんが、今回も何とかまとまりました。

1/30模型

生のうちに何度もあることではありません。 
せっかくなので、「自分だけの住宅」を一緒に作ってみませんか? 
お問い合わせは、「都市建築設計集団/UAPP」まで 無料相談受付中!

関連記事もご覧ください