宮城県仙台市
木造在来工法
メディア掲載
新建築住宅特集 2017年11月号
仙台市の高台の住宅地に建つ、木造2階建て住宅である。
計画地は、南側に段々に稜線が続く高台の敷地である。南側は前面道路になっており、南迎えの住宅は平屋建てで、2階レベルに上がれば、仙台湾までを一望できるような良い環境であった。北側には2mの既存擁壁があり、2m上がったところに、隣地の緑が茂っている。東西には住宅が建っており、眺望としてはやはり南側の、高いところにあるような敷地であった。
景色を眺めながら過ごしたい。
外から覗かれずに中庭を楽しみたい。
子供部屋が孤立しないようにしたい。
キッチン・ダイニングにテラスがほしい。
外に開いた家にしてほしい。
近所の方が遊びに来れるような家にしてほしい。
自然素材を使用してほしい。
などの要望がありました。
北庭と大きなリビング、南側への眺望。そして風の流れなどをおおまかなコンセプトとして、プランが進みました。
北側に中庭を囲って、スキップ状に2階にリビングをとる案も考えましたが、リビングは1階が良いや、北側に囲いを作ると、風通しや日照の条件が悪そうなどのご意見もありました。
ふと、北側にある擁壁は、ポジティブに考えればプライバシーを保つ囲いのように見えてきました。リビングから見た時に順光の光が擁壁や緑に当たり、背景としても魅力を発揮するのではないか。また風通しも両サイドが空いていれば囲み型の中庭形式よりも風が抜けるのではないか。後は日照が北側庭に入れば良い庭になるのではないかと考えました。しかし、2階建ての建物を普通に建てたのでは、間違いなく北側には光が入りません。
そこで、屋根を北側から南側へ大きく開くような形状を採用しました。北側はギリギリまで低くし軒先のような部分を2mほど設けました。
北庭から見ると、屋根と空だけが見えるような、光と風が入る中庭のような場所が出来ました。
内部に入ると、リビングから、2階の子供室までが、斜めの屋根で覆われたような、おおらかな空間が、南側のソラへと繋がります。1階は落ち着いた、木張りの壁の落ち着いた空間です。2階は海まで見える真っ白い空間の中に木造の架構が枝のように広がっています。雰囲気が違う1階と2階の空間を大きな屋根が、受け止めているような状態です。
玄関は口を開いたように開き、暗めのホール状になっています。そこから、リビングをかすめるように介し、北側の庭へ繋がります。
南側の空への眺望と、北側の魅力的な庭を大きな屋根でつないだような住宅です。
外観
![南側外観](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0580-1.jpg)
大きなガラス。日射を遮る特殊なコーティングがされている複層ガラスで、ミラー状になって風景を映し込む
2階上部は電動で開き換気を行う。1階はプライバシーを取るように高窓を取り、下部はレッドシダーの木張りとして、親近感を持つファサードになっている。
左下の黒い部分がアプローチ。
![南西からみる外観](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0583.jpg)
南西からみる。正面とは違い、斜めの屋根が特徴的な家のファサードとなる。
![外観](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0589.jpg)
空を映し込む。
![アプローチ](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0599-1.jpg)
アプローチ。黒い空間が奥に行くほど幅が狭くなっていく。奥に庭が見える。床は玄昌石張り。左手に玄関収納や、水周りが納められている。
![玄関](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0101.jpg)
玄関から来た庭をみる。明るい北庭へと視線を導く。
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0097.jpg)
リビング、軒の付いたテラス、北庭が一体になったように繋がる。
![軒](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0107-1.jpg)
軒が2mでており。夏場はリビングが拡張されたようになる。
北側外観
![北庭](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0563.jpg)
擁壁越しに植栽を植えた北庭。大きな屋根の北側を低く抑えることで、北側にたくさんの日が入る。
![庭の空間](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0517.jpg)
屋根と空が特徴的な。プライバシーが高いリビングのような庭空間。
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0546.jpg)
空がポッカリと開く。右側に玄関ホール。階段を上ると眺望の良い子供室に繋がる。
リビング・ダイニング
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0571.jpg)
おおらかな空間。1階は木を横張とし落ち着いた空間。斜めの天井と木の架構2階の空間から光が入り明るい空間になる。南側には木製のブラインドがあり、明るさの調整ができる。
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0530.jpg)
どこにいても子供の気配を感じる。正面下は、寝室とクローゼットになっており、左下にキッチンが配置されている。2階は将来的にゆるやかにマジ切ることが可能。
![サッシ](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0127.jpg)
北側庭に面するサッシは7.2mの4枚建ての大開口木製サッシを使い大きく開くことができる。リビングと庭、擁壁が一体に感じる。
2mの擁壁と2mの高さの軒高さにより程よく隣地の気配をけしている。
![網戸の格子戸](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0126.jpg)
網戸の格子戸が設けられている。軒の先の部分で網戸を閉めることで、夏場は軒先までをリビング空間とすることができる。
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0084.jpg)
作り付けの家具等も木張りとし空間に統一感をもたらしたいる。
![キッチン](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0146.jpg)
キッチンを見る。
![キッチン](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0165.jpg)
キッチンからも庭を感じる。
2階
![2階の眺望](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0533-1.jpg)
![2階の眺望](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0539.jpg)
2階に上がると、奥に海が見えるような眺望が開ける。柱や斜材が空間を緩やかに間仕切るほか、照明などの機能も持つ。南面上部は開口部になっており、風を抜く。
![2階の白い空間](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0112.jpg)
2階は開放的な白い空間。1階と雰囲気が変わる。
![階段と天井](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0123.jpg)
階段と天井が呼応しながら、空間を繋ぐ。その先に外部が繋がる。
寝室
![落ち着いた空間](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0139.jpg)
落ち着いた空間。高窓は、道路側からの視線も感じず換気ができる。
水廻りのスペース
![洗面所](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0136.jpg)
浴室からも庭に出ることができる。
![浴室](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0130.jpg)
夜景
![夜景](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0201-500x750.jpg)
内部の天井にグラデーション状に光が当たりファサードとなる。
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/ygs-VW7E0180-1.jpg)
![リビング](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0185.jpg)
![](https://www.uapp.jp/wp-content/uploads/2022/09/VW7E0583-1.jpg)
YGS 八木山の尾根の住宅
- 所在地/仙台市太白区
- 主要用途/専用住宅
- 家族構成/夫婦+子供2人
構造・構法
- 主体構造 木造
- 基礎 ベタ基礎
規模
- 敷地面積 167.21㎡
- 建築面積 95.64㎡
- 延床面積 112.23㎡
工程
- 設計期間 2011年9月~2012年5月
- 工事期間 2012年6月~2012年12月
敷地条件
- 第2種住居地域
- 道路幅員 南6.0m
- 駐車台数2台
撮影:小関克郎